概要
1943年にベンガル地方で発生した大飢饉で、推定200万〜300万人が死亡。食糧不足だけでなく、イギリスの戦時政策(ビルマ陥落による米輸入途絶、軍への優先配分、インフレ)が被害を拡大させた。チャーチル首相の人種差別的態度と救援の遅れが批判されている。
歴史的背景
日本軍のビルマ征服によりビルマからの米の輸入が途絶。サイクロンによる収穫被害、戦争によるインフレ、投機的な米の買い占めが重なった。イギリス当局は日本軍の上陸に備えた「焦土作戦」でベンガルの小舟を破壊し、漁業と輸送を壊滅させた。
地形・地理的特徴
ベンガル・デルタはガンジス・ブラマプトラ両大河の沖積平野で、稲作に依存する人口稠密な地域。サイクロンや洪水に脆弱であり、1942年の暴風雨が稲の収穫に甚大な被害をもたらした。
歴史的重要性
植民地支配の構造的暴力を象徴する事件。アマルティア・センの飢饉研究の出発点となり、飢饉は食糧不足だけでなく配分の問題であるという「エンタイトルメント・アプローチ」の理論的基礎を提供した。
参考文献
- Amartya Sen, Poverty and Famines, 1981
- Madhusree Mukerjee, Churchill's Secret War, 2010