概要
1810年9月16日未明、ドロレス村の教区司祭ミゲル・イダルゴ・イ・コスティーリャが教会の鐘を鳴らし、スペイン支配からの独立を呼びかけた。「アメリカ万歳、スペイン人に死を」という叫びは「ドロレスの叫び」として知られ、数千人の先住民・メスティーソ・農民が蜂起した。イダルゴ軍は一時グアナフアトのアロンディガ穀倉を占領し、メキシコシティに迫ったが、規律の欠如と軍事経験の不足から撤退を余儀なくされ、1811年にイダルゴは捕縛・処刑された。
歴史的背景
ナポレオンのスペイン侵攻(1808年)によりスペイン王フェルナンド7世が退位させられ、植民地の正統な統治権が動揺した。クリオーリョはスペイン生まれのペニンスラールに対する政治的差別に不満を抱いていた。啓蒙思想とフランス革命・アメリカ独立の影響が知識人層に浸透し、独立への機運が高まっていた。
地形・地理的特徴
メキシコ中央高原のバヒオ地方に位置するドロレス村。標高約2000メートルの肥沃な農業地帯で、先住民と混血のメスティーソが多数を占める地域であった。バヒオ地方は植民地期に鉱業と農業で栄え、クリオーリョ(現地生まれのスペイン人)の不満が集中する場所でもあった。
歴史的重要性
メキシコ独立運動の起点となり、9月16日はメキシコの独立記念日として現在も盛大に祝われる。イダルゴの蜂起は最終的に鎮圧されたが、ホセ・マリア・モレロスらが運動を引き継ぎ、1821年のメキシコ独立達成への道を開いた。社会的底辺層を動員した革命運動の先駆として、後のメキシコ革命にも影響を与えた。
参考文献
- Timothy Anna, The Fall of the Royal Government in Mexico City
- Eric Van Young, The Other Rebellion