概要
ポリネシア文化圏で高度に発達した身体装飾の伝統。サモアのペアは腰から膝までを覆う幾何学的な男性のタトゥーで、成人儀礼として施される。マオリのモコ(顔面タトゥー)は個人の系譜と社会的地位を表す。マルケサス諸島では全身に施されることもあった。施術は宗教的儀礼であり、骨製の櫛と木槌で皮膚に墨を打ち込む技法が用いられた。
歴史的背景
タトゥーはラピタ文化(紀元前1500年頃)に遡る可能性があり、ポリネシア人の拡散とともに太平洋全域に広まった。各地域で独自の様式が発達し、社会的地位、部族の帰属、勇気の証、霊的保護などの意味を持った。キリスト教宣教師により一時衰退したが、20世紀後半に復興運動が起きた。
地形・地理的特徴
ポリネシアの火山島と環礁島。タヒチ、サモア、マルケサス諸島、ニュージーランドなど太平洋の広範な地域にタトゥー文化が分布。英語のtattooはタヒチ語のtatatauに由来する。
歴史的重要性
「タトゥー」という語自体がポリネシア起源であることが示すように、世界のタトゥー文化に決定的な影響を与えた。18世紀のクック船長の航海員がタトゥーをヨーロッパに持ち帰り、西洋のタトゥー文化の直接的起源となった。現代のタトゥー文化復興は先住民のアイデンティティ運動と結びついている。
参考文献
- Thomas, Tattoo: Bodies, Art, and Exchange
- Ellis, Tattooing the World