概要

5代将軍徳川綱吉が動物の殺傷を禁じた一連の法令。特に犬の保護が厳格で、犬を傷つけた者は厳罰に処された。綱吉は「犬公方」と揶揄された。中野に巨大な犬収容施設が設けられた。綱吉の死後、6代家宣により直ちに廃止された。

歴史的背景

綱吉は戌年生まれで、母・桂昌院の影響もあり仏教的慈悲の思想から生類への殺生を禁じた。当初は捨て子や病人の保護なども含む広い「慈悲」の政策であったが、次第に犬に偏重した極端な法令に変質した。

地形・地理的特徴

江戸市中が法令の主要な施行範囲。中野の犬小屋には10万頭以上の犬が収容されたとされ、現在の中野区一帯に広大な施設が設けられた。

歴史的重要性

長く「悪法」の代名詞とされてきたが、近年の研究では動物愛護・捨て子保護など文明化政策としての再評価も進む。殺伐とした戦国の風潮を改め、生命を尊重する社会への転換を示す側面もあった。

参考文献

  • 『徳川実紀』
  • 『犬と鷹の江戸時代』根崎光男