概要
ラムセス2世率いるエジプト軍がヒッタイト王ムワタリ2世の軍とシリアのカデシュで激突した古代最大規模の戦車戦。約5000台の戦車と数万の兵士が参加。ラムセス2世はヒッタイト軍の偽情報に欺かれて奇襲を受けたが、増援の到着と個人の勇猛で辛うじて全滅を免れた。
歴史的背景
新王国エジプトとヒッタイト帝国はシリア・パレスチナの覇権を巡って長期的に対立していた。ラムセス2世は即位後、父セティ1世の遠征を引き継ぎシリアへの支配権回復を目指した。
地形・地理的特徴
カデシュ(テル・ネビ・メンド)はオロンテス川沿いの丘陵上に位置し、レバノン山脈とアンチレバノン山脈の間のベカー渓谷北端を制する要衝。オロンテス川が城塞の天然の堀として機能し、周囲の平原は戦車戦に適していた。エジプトとヒッタイトの勢力圏の境界にあたる地政学的要地。
歴史的重要性
記録に残る最古の大規模戦車戦であり、最古の和平条約(エジプト・ヒッタイト和平条約、紀元前1258年)の契機となった。ラムセス2世はこの戦いを大勝利として宣伝したが、実際には引き分けであった。国際外交史における画期的な出来事。
参考文献
- Spalinger, A.J., 'War in Ancient Egypt'
- Kitchen, K.A., 'Pharaoh Triumphant: The Life and Times of Ramesses II'