概要
ポルトガル人航海者フェルディナンド・マゼランが率いるスペイン艦隊が、1520年11月にマゼラン海峡を通過し太平洋に入った。穏やかな海況から「太平洋(Mar Pacífico)」と命名。約3カ月半の航海を経て1521年3月にグアム島、次いでフィリピン・セブ島に到達した。マゼランはフィリピンのマクタン島で戦死したが、残存艦ビクトリア号が1522年に世界周航を完遂した。
歴史的背景
15世紀末からのヨーロッパ大航海時代において、香料諸島(モルッカ諸島)への西回り航路開拓がスペインの国策であった。トルデシリャス条約によりアフリカ回りをポルトガルに押さえられたスペインは、西回りルートに活路を求めた。マゼランはポルトガル王に計画を拒否され、スペイン王カルロス1世の支援を得て出航した。
地形・地理的特徴
地球最大の海洋である太平洋は、面積約1億6500万平方キロに及ぶ。マゼラン海峡を抜けた艦隊は、予想を遥かに超える広大な海域に直面した。赤道付近の貿易風帯を利用したが、太平洋の西部まで約3カ月間ほぼ陸地を発見できず、壊血病と飢餓に苦しむ過酷な航海となった。
歴史的重要性
ヨーロッパ人による太平洋の「発見」であり、地球が球体であることの最終的な実証となった。太平洋の広大さが初めてヨーロッパに認識され、以降のスペインによるフィリピン植民地化とマニラ・ガレオン貿易の基礎を築いた。世界史を大西洋と太平洋を含むグローバルな視座で捉え直す契機となった。
参考文献
- Pigafetta, A. 'The First Voyage Around the World' (1525)
- Bergreen, L. 'Over the Edge of the World' (2003)