概要
殷墟は殷(商)王朝後期の都城遺跡で、盤庚の遷都(紀元前1300年頃)以降約270年間の首都。1928年から発掘が始まり、大量の甲骨文(亀甲・獣骨に刻まれた占卜の文字)が出土。甲骨文は現在確認できる中国最古の体系的な文字であり、漢字の直接の祖先。司母戊鼎(832.84kg)をはじめとする壮大な青銅器群も発見された。
歴史的背景
殷王朝は占卜を国政の基盤とし、甲骨文はその記録である。祖先崇拝と天帝信仰が王権の正統性を支え、大規模な人身御供(殉葬)も行われた。青銅器の鋳造技術は当時の世界最高水準であった。
地形・地理的特徴
安陽の洹水(洹河)北岸に位置する殷墟は、華北平原の中央部に立地。洹河の水利と肥沃な沖積平野が都城の基盤。殷の王宮区と殷王の墓域が河の両岸に分布する。
歴史的重要性
中国文明の原点を考古学的に証明した世界的に重要な遺跡。甲骨文は漢字の起源として3000年以上の文字文化の連続性を示す。2006年にユネスコ世界文化遺産に登録。
参考文献
- 『殷墟甲骨文選注』
- 『安陽殷墟考古発掘報告』