概要
ティムールの孫ウルグ・ベクが建設した中世世界最大・最精密の天文台。半径約40mの巨大な六分儀を備え、1018個の星の位置を記録した星表(ズィージ・イ・スルタニー)を編纂した。恒星年の長さを365日6時間10分8秒と計算(現代の値との誤差はわずか58秒)。
歴史的背景
ウルグ・ベクは政治家としてよりも学者として名高いティムール朝の君主。自ら天文観測に参加し、イスラム天文学の伝統を最高水準に引き上げた。ジャムシード・アル・カーシーらの数学者・天文学者を招聘した。
地形・地理的特徴
サマルカンド市外の丘陵上に建設。地下に掘られた巨大な六分儀(半径約40m)は地形の起伏を利用した設計で、天体観測の精度を最大限に高めた。
歴史的重要性
コペルニクス以前における最も精密な天文観測を達成。ウルグ・ベクの星表はティコ・ブラーエの観測まで150年間世界最高の精度を誇った。1449年にウルグ・ベクが暗殺された後、天文台は破壊されたが、1908年に遺構が再発見された。
参考文献
- Kevin Krisciunas, The Legacy of Ulugh Beg, 1993
- Thomas Hockey et al., Biographical Encyclopedia of Astronomers, 2007