概要

モンゴル侵入の最中、江華島で16年をかけて再刻された高麗大蔵経(八万大蔵経)が完成。81,258枚の木版に1,496部6,568巻の仏典を収録。現存する世界最古の完全な大蔵経であり、内容の正確さと木版彫刻の精緻さで世界的に評価される。

歴史的背景

初刊大蔵経(11世紀)がモンゴルの侵入で焼失したため、仏力による国難克服を願って再刻版が企画された。崔氏政権の支援の下、僧・守其が中心となって校訂作業を行い、既存の宋版・遼版・初刊版を比較校勘した学術的価値の高い版本を完成させた。

地形・地理的特徴

伽耶山(海抜1430m)の山腹に位置する海印寺は、湿度と気温の変化が少ない山岳地帯にある。海風と山風が交差する独特の環境が木版の保存に適しており、約800年間にわたって8万枚以上の経板が腐朽せず保存されている。

歴史的重要性

ユネスコ世界遺産(海印寺蔵経板殿)およびユネスコ世界記録遺産に登録。木版印刷技術の世界最高傑作であり、仏教学研究の基本テキストとして現在も利用されている。国難に際して文化事業で結束した高麗人の精神性を象徴する。

参考文献

  • 高麗史
  • 海印寺蔵経板殿記録