概要
西アジアから移住してきたセム系民族ヒクソス(「異国の支配者」の意)が下エジプトを支配し、アヴァリスを首都として第15王朝を樹立した。馬匹と戦車、複合弓、青銅製武器などの軍事技術の優位によりエジプト軍を圧倒。約100年にわたりデルタ地域を支配した。
歴史的背景
第二中間期、中央政府の権威が再び低下する中、東方デルタにすでに定着していたアジア系住民の勢力が増大。中王国末期の政治的混乱がヒクソスの台頭を許した。
地形・地理的特徴
ナイルデルタ東部のアヴァリス(テル・エル・ダバア)は、シナイ半島からエジプトに至る「ホルスの道」の終点に位置する。デルタ地帯の平坦で開けた地形は、馬と戦車を用いる侵入者に有利であった。デルタの水路網が天然の防御線となりうるが、逆に内部の機動を制約する効果もあった。
歴史的重要性
エジプトに馬と戦車を導入し、その後の新王国の軍事的拡張の技術的基盤となった。異民族支配の経験はエジプト人の対外意識を変革し、新王国時代の帝国主義的拡張の動機となった。複合弓や改良された鋳造技術もヒクソスを通じてエジプトにもたらされた。
参考文献
- Bietak, M., 'Avaris: The Capital of the Hyksos'
- Oren, E.D., 'The Hyksos: New Historical and Archaeological Perspectives'