概要

クルド人出身のサラーフッディーン(サラディン)がファーティマ朝の宰相として権力を握り、シーア派カリフを廃してスンニ派のアイユーブ朝を建国。1187年のハッティーンの戦いで十字軍を撃破し、エルサレムを奪回。第三回十字軍のリチャード獅子心王との対決は伝説となった。

歴史的背景

ファーティマ朝末期のエジプトは政治的混乱に陥り、十字軍の脅威にも曝されていた。ヌールッディーンのシリアからの介入により、サラーフッディーンがエジプトに派遣され、実権を掌握した。

地形・地理的特徴

カイロのシタデル(城塞)をムカッタム丘陵上に建設し、以後のエジプト統治者の拠点とした。丘陵からカイロ全域とナイル渓谷を見渡せる戦略的位置。エジプトとシリアを結ぶ地政学的位置がアイユーブ朝の二元的帝国を可能にした。

歴史的重要性

十字軍に対するイスラム世界の反撃の象徴的人物。敵にも寛大であったとされるサラーフッディーンの騎士道精神は、西洋でも尊敬を集めた。エルサレム奪回はイスラム世界の大きな精神的勝利であり、現代のアラブ・ナショナリズムの英雄でもある。

参考文献

  • Lyons, M.C., 'Saladin: The Politics of the Holy War'
  • Hillenbrand, C., 'The Crusades: Islamic Perspectives'