概要
紀元前1900年頃からインダス文明の主要都市が段階的に放棄された。モヘンジョダロでは都市の維持管理が低下し、ハラッパーでは墓地H文化への移行が見られた。住民は東方のガンジス川流域や南方のグジャラートへ移動したと考えられ、都市文明は終焉したが農村文化は継続した。
歴史的背景
気候変動(4.2キロ年イベント)による乾燥化、ガッガル・ハークラー川の変流、地殻変動によるインダス川の流路変化、交易ネットワークの崩壊など複合的な要因が指摘されている。外部侵入による滅亡説(アーリア人侵入説)は現在では否定的に捉えられている。
地形・地理的特徴
インダス川流域全体にわたる環境変動が都市文明を直撃した。ガッガル・ハークラー川(ヴェーダのサラスヴァティー川と比定される)の干上がりにより、多数の集落が放棄された。モンスーンパターンの変化による降水量減少も指摘されている。
歴史的重要性
都市文明の崩壊メカニズムを理解する上で重要な事例。気候変動と文明崩壊の関係を示す古代の典型例として、現代の環境問題への示唆も含む。インダス文明の文化要素はその後の南アジア文化に継承された。
参考文献
- Michael Staubwasser et al., Climate change at the 4.2 ka BP termination, 2003
- Rita Wright, The Ancient Indus, 2010