概要
『源氏物語絵巻』は紫式部の源氏物語を絵画化した現存最古の物語絵巻。吹抜屋台(屋根を省略して室内を俯瞰する)の技法と、引目鉤鼻(線で目と鼻を表す)の人物表現が特徴。現存する19場面は徳川美術館と五島美術館に分蔵される。濃厚な色彩の「作り絵」技法で王朝文化の精華を伝える。
歴史的背景
院政期は絵巻物の黄金時代であり、宮廷や大寺院が優れた絵師を擁していた。源氏物語は成立から約100年を経てもなお貴族社会で愛読されており、その絵画化は当然の成り行きであった。複数の画家と書家の共同制作とされる。
地形・地理的特徴
宮廷の工房で制作されたとされる。平安京の貴族社会の美意識を反映し、寝殿造の室内が繊細な色彩で描かれている。絵と詞書が交互に配された形式は日本の物語絵巻の典型。
歴史的重要性
日本の大和絵の最高傑作の一つであり、国宝に指定されている。吹抜屋台や引目鉤鼻といった日本絵画独自の表現技法を確立した。王朝文化の美意識を視覚的に伝える貴重な文化財であり、日本美術史の金字塔である。
参考文献
- 『源氏物語絵巻』徳川美術館
- 『日本絵巻大成』