概要

水面を舞台に木彫りの人形を操る独自の人形劇。操者は竹のスクリーン(簾)の背後で腰まで水に浸かり、長い竹竿と水面下の糸で人形を操作する。農村の祭祀で演じられた素朴な芸能が李朝期(11世紀)に宮廷に取り入れられ芸術として発展。龍・鳳凰・亀・仙女などの演目がある。

歴史的背景

紅河デルタの水稲農業と密接に結びついた芸能。豊穣祈願・収穫祭で演じられ、水牛の闘い、魚捕り、田植えなど農村の日常が題材。李朝・陳朝の碑文に水上人形劇への言及があり、少なくとも1,000年の歴史を持つ。

地形・地理的特徴

紅河デルタの水田地帯が水上人形劇発祥の地。毎年の洪水で水没する水田を「舞台」として利用したのが起源とされる。ハノイのホアンキエム湖畔にある水上人形劇場が現在の中心。

歴史的重要性

世界に類例のない独自の人形劇形態。ベトナムの文化的アイデンティティを象徴する芸能としてハノイの観光名所となり、海外公演も行われている。水田文化と芸術の融合という東南アジア大陸部の文化的特質を体現する。

参考文献

  • ベトナム伝統芸能研究
  • 水上人形劇研究