概要
テオティワカン崩壊後にメキシコ中央高原の覇権を握った帝国。首都トゥーラには「アトランテス」と呼ばれる高さ4.6mの戦士像柱が立つピラミッドBが象徴的。ケツァルコアトル(羽毛の蛇)信仰の中心地で、伝説的な王セ・アカトル・トピルツィンの物語が後のメソアメリカ史に大きな影響を与えた。
歴史的背景
テオティワカンの崩壊後の混乱期に北方から移住してきたトルテカ・チチメカ人が建設した。ケツァルコアトルを奉じる勢力とテスカトリポカを奉じる勢力の宗教的対立が伝承されており、敗れたケツァルコアトル勢力が東方へ去ったという神話はアステカ時代のスペイン人到達の解釈に影響した。
地形・地理的特徴
メキシコ中央高原のトゥーラ川沿い、現在のイダルゴ州に位置する。半乾燥地帯で灌漑農業に依存し、黒曜石や石灰岩の産地が近い。テオティワカンの衰退後、中央高原の政治的空白を埋める位置にあった。北方の遊牧民世界と南方のメソアメリカ農耕世界の境界地帯。
歴史的重要性
アステカはトルテカを文明の理想として神話化し、自らをその正統な後継者と位置づけた。「トルテカ」は「優れた職人」の意味でも使われ、文明そのものの代名詞となった。チチェン・イツァのトルテカ的要素との関係は考古学の重大な論争点。
参考文献
- Davies, The Toltecs Until the Fall of Tula
- Diehl, Tula: The Toltec Capital