概要

預言者ムハンマドの曾孫イドリース1世がアッバース朝の迫害を逃れてマグレブに到り、ベルベル人のアウラバ族の支持を得てイドリース朝を建国した。息子イドリース2世がフェズを建設して首都とした。シーア派(ザイド派)の影響を持つモロッコ最初のイスラム王朝。

歴史的背景

786年のファフフの戦い後、アッバース朝がアリー家(預言者の子孫)を弾圧。イドリース1世はマグレブに逃れ、アッバース朝の支配が及ばないこの地でベルベル人の支持を得た。

地形・地理的特徴

モロッコ北部のリーフ山脈とアトラス山脈に囲まれた地域。ベルベル人の部族社会が散在する山岳地帯で、中央権力の浸透が困難な地形がイドリース朝の分権的性格を決定づけた。ヴォルビリスのローマ遺跡近くに最初の拠点を築いた。

歴史的重要性

モロッコにおけるイスラム国家の基礎を築き、預言者の子孫(シャリーフ)が統治者となる伝統の出発点。フェズはイスラム世界の主要な学術・宗教都市として発展。現在のモロッコ王家もシャリーフの系譜を主張している。

参考文献

  • Abun-Nasr, J.M., 'A History of the Maghrib'
  • Bennison, A.K., 'The Almoravid and Almohad Empires'