概要

南アフリカのドラケンスバーグ山脈に約3万5千〜4万点のサン人(ブッシュマン)の岩絵が残る。エランド(大型アンテロープ)の狩猟、トランス状態のシャーマンの踊り、雨乞いの儀式などが精巧な多色画で描かれている。世界のロック・アートの中でも最も芸術的価値が高いとされる。

歴史的背景

サン人は南部アフリカ最古の住民であり、約2万年以上の歴史を持つ狩猟採集民。岩絵はシャーマニズムの宗教的実践と結びついており、トランス状態での体験が絵に反映されていると解釈されている。

地形・地理的特徴

南アフリカ東部のドラケンスバーグ山脈(最高峰約3482m)の砂岩の岩壁。多数の洞窟や岩陰が描画の舞台を提供した。山脈の東斜面は湿潤で動植物が豊富であり、狩猟採集民サン人の生活圏であった。

歴史的重要性

世界最古の芸術的伝統の一つを保存する。サン人のシャーマニズムの宗教観を理解する鍵であり、「最古のスピリチュアル・アート」とされる。ユネスコ世界遺産。バンツー系民族とヨーロッパ人の侵入によりサン人の伝統的生活は消滅に瀕している。

参考文献

  • Lewis-Williams, D., 'The Mind in the Cave'
  • Lewis-Williams, D., 'San Spirituality'