概要

デカン高原を支配したサータヴァーハナ朝(アーンドラ朝)は、ローマ帝国との活発な海上交易で繁栄した。香辛料、宝石、絹、象牙をローマに輸出し、金貨やワイン、ガラス器を輸入。『エリュトゥラー海案内記』に交易の詳細が記録されている。プラークリット語を公用語とし、仏教石窟寺院を多数建設した。

歴史的背景

アウグストゥス期以降のローマ帝国の拡大と富裕化により、東方の贅沢品への需要が急増。モンスーンの風を利用した直接航路の発見(ヒッパロスの風)が航海を革命的に短縮し、インド洋交易が爆発的に拡大した。

地形・地理的特徴

デカン高原の北西部から東海岸にかけて支配。西ガーツ山脈の峠を通じてアラビア海沿岸の港湾(バリガザ等)と内陸部を結び、東海岸のマスリパトナムからもベンガル湾交易を展開した。

歴史的重要性

古代におけるグローバルな海上交易ネットワークの実在を示す重要な事例。デカン高原の仏教石窟群(アジャンター・カルラ等)の建設資金は交易利益に支えられており、経済と文化の結びつきを如実に示す。

参考文献

  • Himanshu P. Ray, The Winds of Change: Buddhism and the Maritime Links of Early South Asia, 1994
  • Lionel Casson, The Periplus Maris Erythraei, 1989