概要
マヤ文明は独自の複数の暦法を発達させた。ツォルキン(260日暦、儀礼暦)、ハアブ(365日暦、太陽暦)、そしてこの二つが組み合わさるカレンダー・ラウンド(52年周期)に加え、紀元前3114年8月11日を起点とする長期暦を使用した。金星の会合周期(584日)を高精度で計算し、日食の予測も行った。さらにゼロの概念を独自に発明した。
歴史的背景
農業暦としての実用的必要性と宗教的世界観が暦法の発達を駆動した。マヤの宇宙観では時間は循環的であり、各時間単位に吉凶が割り当てられた。天文観測は専門の神官階級が担い、観測結果は写本(コデックス)に記録された。パリ写本、ドレスデン写本に天文表が残る。
地形・地理的特徴
メソアメリカの低地から高地にかけたマヤ文明圏全域。熱帯地方の明瞭な乾季と雨季のサイクルが暦法発達の動機となった。雲の少ない乾季の夜空は天体観測に適し、各都市の神殿は天体の方位に合わせて配置された。
歴史的重要性
マヤの暦法と天文学は旧大陸から独立して発達した数学・天文学の到達点。ゼロの概念の独立発明はインドに次いで世界で2番目とされる。2012年にマヤ暦の長期暦の一周期が終わるとして終末論的な話題となったが、マヤ暦は本来循環的であり「終末」の概念はない。
参考文献
- Aveni, Skywatchers of Ancient Mexico
- Coe, Breaking the Maya Code