概要
約30の石窟からなる仏教寺院群。第1期(紀元前2〜1世紀、サータヴァーハナ朝時代)と第2期(5世紀、ヴァーカータカ朝時代)に大別される。第2期の壁画群はインド美術の最高傑作とされ、ブッダの前世物語(ジャータカ)を鮮やかな色彩で描く。1983年ユネスコ世界遺産登録。
歴史的背景
交易路沿いの仏教修道院として始まり、雨季に旅行者が滞在する場所でもあった。ヴァーカータカ朝のハリシェーナ王の庇護の下、第2期の壁画群が制作された。商人や王族の寄進が建設資金を支えた。
地形・地理的特徴
ワゴーラー川の馬蹄形峡谷の断崖に掘られた石窟群。玄武岩の崖面が彫刻に適しており、峡谷の遮蔽が修行の静寂を保証した。デカン高原の主要交易路沿いに位置し、商人の寄進を受けやすい立地であった。
歴史的重要性
インド古典絵画の最高峰であり、仏教美術の世界的傑作。壁画の技法と図像は東アジア(中国・日本)の仏教美術に大きな影響を与えた。法隆寺金堂壁画との様式的類似が指摘されている。
参考文献
- Walter Spink, Ajanta: History and Development, 2005-2014
- UNESCO World Heritage, Ajanta Caves, 1983