概要
聖仙ヴァールミーキ作とされる約2万4千頌の叙事詩。コーサラ国の王子ラーマが妃シーターの奪還のためランカーの魔王ラーヴァナと戦う物語。ダルマ(正義)の体現者としてのラーマ像は理想的な王・夫・息子の模範とされ、インド文化の道徳的規範を形成した。
歴史的背景
マハーバーラタと並ぶインドの二大叙事詩。口承伝統を基に文字化され、後に各地の言語に翻案された。トゥルシーダースのヒンディー語版『ラームチャリトマーナス』(16世紀)は北インドで最も親しまれている。
地形・地理的特徴
物語はアヨーディヤー(現ウッタル・プラデーシュ州)を起点にランカー(スリランカ)まで展開。インド亜大陸の地理全体が物語の舞台となり、森林・山岳・海洋を横断する壮大な空間が描かれる。
歴史的重要性
インドの精神文化の基層をなし、毎年のラーム・リーラー(演劇祭)やディーワーリー祭の根拠となっている。東南アジアにも広く伝播し、カンボジア(リアムケル)、タイ(ラーマキエン)、インドネシア(ラーマーヤナ・バレエ)として各地で独自の発展を遂げた。
参考文献
- Robert Goldman (tr.), The Ramayana of Valmiki, 1984-2017
- Paula Richman (ed.), Many Ramayanas, 1991