概要

2006年1月22日、コカ栽培農民組合指導者であったエボ・モラレスがボリビア初の先住民出身大統領に就任した。社会主義運動(MAS)党を率い、天然ガスの国有化、新憲法制定(多民族国家ボリビアの宣言)、先住民の権利拡大、コカ栽培の合法化を推進した。貧困率の大幅削減とGDP成長を実現したが、2019年の大統領選挙における不正疑惑と軍の要求により辞任・亡命。アイマラ族の文化的シンボルであるウィパラ(先住民旗)を国旗として採用した。

歴史的背景

ボリビアは人口の約6割が先住民であるにもかかわらず、スペイン植民地以来約500年間、クリオーリョ(白人系)エリートが政治を支配してきた。2000年のコチャバンバ「水戦争」(水道民営化への抵抗)と2003年の「ガス戦争」(天然ガス輸出政策への抗議)が社会運動を活性化させ、モラレスの政治的台頭を準備した。新自由主義改革への反発と先住民アイデンティティの覚醒が結合した運動であった。

地形・地理的特徴

ラパスは標高約3640メートルのアルティプラーノ(高原)盆地に位置する世界最高所の首都機能都市である。すり鉢状の地形の上部に富裕層が住み、谷底に貧困層が集中する逆転した都市構造を持つ。隣接するエルアルトは標高4000メートルを超えるアイマラ族の都市で、モラレスの強固な支持基盤であった。コチャバンバの「水戦争」(2000年)はモラレス台頭の前哨戦であった。

歴史的重要性

ラテンアメリカの先住民政治参加における歴史的転換点。先住民の文化的権利と脱植民地化を国家の公式方針に据えた最初の事例であり、エクアドルやペルーの先住民運動にも影響を与えた。「ビビール・ビエン」(良き生)の概念を憲法に組み込み、開発と先住民世界観の調和を模索する新しいモデルを提示した。しかし長期政権化と辞任劇は民主主義の脆弱性も露呈した。

参考文献

  • Linda Farthing & Benjamin Kohl, 'Evo's Bolivia'
  • Sven Harten, 'The Rise of Evo Morales and the MAS'