概要

1995年1月1日、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)ウルグアイ・ラウンドの成果として世界貿易機関(WTO)が発足した。GATTが物品貿易のみを対象としたのに対し、WTOはサービス貿易(GATS)、知的財産権(TRIPS)も管轄する包括的な国際貿易機関となった。紛争解決メカニズムの強化が最大の制度的革新であり、加盟国間の貿易紛争に法的拘束力のある裁定を下す。2024年時点で164カ国・地域が加盟。

歴史的背景

1947年に発足したGATT体制の下で8回のラウンド交渉が行われ、関税率は大幅に低下した。しかし農業、サービス、知的財産など新たな分野での貿易ルールの必要性が高まり、1986年に開始されたウルグアイ・ラウンドで包括的な新機関の設立が合意された。冷戦の終結と経済のグローバル化が自由貿易体制の拡大を後押しした。

地形・地理的特徴

ジュネーヴのレマン湖畔に本部が置かれた。スイスの永世中立国としての地位と、国際機関が集積する「国際都市」としてのインフラが、多国間貿易機関の立地に適していた。GATT時代からの伝統を引き継ぎ、ジュネーヴは国際通商交渉の中心地であった。

歴史的重要性

グローバル化の制度的基盤として、世界貿易の急激な拡大を支えた。中国のWTO加盟(2001年)は世界経済の構造を根本的に変えた。一方で2001年のドーハ・ラウンドの停滞、米中貿易戦争、保護主義の台頭により、多国間貿易体制の危機が指摘されている。

参考文献

  • Irwin, Clashing over Commerce
  • Narlikar, The World Trade Organization