概要
オーストラリア高等裁判所がマボ対クイーンズランド州事件において、オーストラリア法における「テラ・ヌリウス」(無主地)原則を覆し、先住民の先住権原(ネイティブ・タイトル)を認める画期的判決を下した。メリアム族のエディー・マボら5名が10年にわたる訴訟を戦い、トレス海峡マー島に対する伝統的土地権を勝ち取った。マボ本人は判決の5カ月前に死去した。
歴史的背景
1770年のクックの領有宣言以来、イギリスおよびオーストラリアの法体系はオーストラリアを「テラ・ヌリウス」(誰のものでもない土地)として扱い、先住民の土地権を一切認めてこなかった。1982年にエディー・マボらが提訴し、10年間の法廷闘争を経て判決に至った。カナダやニュージーランドでの先住民の土地権判例が参照された。
地形・地理的特徴
この判決はオーストラリア全土に影響を及ぼしたが、原告エディー・マボの出身地はトレス海峡のマー島(マレー島)。クイーンズランド州最北端とパプアニューギニアの間の浅い海域に散在するトレス海峡諸島は珊瑚礁の低平な島々で、メリアム族は伝統的にこの島の土地を耕作し漁労に従事してきた。
歴史的重要性
200年以上にわたる「テラ・ヌリウス」の法的虚構を覆した、オーストラリア法制史上最も重要な判決。1993年の先住権原法制定を促し、先住民の土地請求の法的枠組みを構築した。オーストラリアの先住民和解運動の法的基盤となり、国際的にも先住民の権利に関するリーディングケースとして引用される。
参考文献
- Reynolds, H. 'The Law of the Land' (1987)
- Loos, N. & Mabo, K. 'Edward Koiki Mabo: His Life and Struggle for Land Rights' (1996)