概要

1991年のバーレ政権崩壊後、ソマリアは武装クラン勢力の割拠する無政府状態に陥った。飢饉対策の国連PKO(1992年)の失敗と、1993年10月のモガディシュの戦い(「ブラックホーク・ダウン事件」)での米軍兵士18人の死亡がアメリカの撤退を招いた。以後約30年間、実効的な中央政府を欠く「破綻国家」の典型例となった。

歴史的背景

シアド・バーレの21年間の独裁が崩壊した後、クラン間の権力闘争が激化。ソ連の支援喪失と冷戦の終結が国家崩壊を加速させた。1991-92年の飢饉で約30万人が死亡し、国際介入が行われた。

地形・地理的特徴

ソマリアの首都モガディシュはインド洋に面する都市で、内戦により市街地が戦場と化した。ソマリアの乾燥した半砂漠地帯は遊牧民のクラン社会を育み、中央集権的統治を困難にする地理的条件を持つ。「アフリカの角」の地政学的位置が国際的関心を集めた。

歴史的重要性

ブラックホーク・ダウン事件はアメリカの「ソマリア症候群」を生み、ルワンダ虐殺への不介入の遠因となった。ソマリアの海賊問題、アル・シャバーブのイスラム過激派テロは現在も国際安全保障上の課題。「破綻国家」概念の代名詞。

参考文献

  • Bowden, M., 'Black Hawk Down'
  • Menkhaus, K., 'Somalia: State Collapse and the Threat of Terrorism'