概要

1985年、英国南極調査所のジョー・ファーマンらが南極上空の成層圏オゾン濃度の劇的な減少(オゾンホール)を発見し、Natureに発表した。フロン類(CFC)がオゾン層を破壊するという1974年のモリーナとローランドの仮説が実証された形となった。1987年9月16日、モントリオール議定書が採択され、フロン類の段階的廃止が国際的に合意された。議定書には197カ国が参加し、国連の全加盟国が批准した初の環境条約となった。

歴史的背景

1928年に発明されたフロン類は冷媒、噴射剤、発泡剤として広く使用されていた。1974年にマリオ・モリーナとフランク・シャーウッド・ローランドがCFCが成層圏のオゾン層を破壊する可能性を指摘したが、化学産業界からの強い抵抗があった。1985年のオゾンホール発見はNASAの衛星データでも確認され、科学的議論に決着がついた。

地形・地理的特徴

南極大陸上空の成層圏は、極渦と呼ばれる大気循環パターンにより冬季に孤立し、極端な低温環境が生じる。この特殊な気象条件下でフロン(CFC)由来の塩素原子が効率的にオゾンを分解し、毎年春季に「オゾンホール」が形成される。南極の極端な気候条件がオゾン層破壊を最も顕著に示す場となった。

歴史的重要性

モントリオール議定書は「最も成功した国際環境条約」と評価され、オゾン層は21世紀半ばまでに回復する見通しである。科学的知見に基づく国際的な環境規制の先例となり、後の気候変動対策(京都議定書、パリ協定)のモデルとなった。モリーナとローランドは1995年にノーベル化学賞を受賞した。代替フロンの開発は環境技術イノベーションの成功事例となった。

参考文献

  • J.C. Farman et al.『Large losses of total ozone in Antarctica reveal seasonal ClOx/NOx interaction』Nature 1985
  • Stephen O. Andersen & K. Madhava Sarma『Protecting the Ozone Layer: The United Nations History』