概要
1979年の軍事クーデターに端を発するエルサルバドル内戦は、左翼ゲリラFMLNと軍・右翼死の部隊との間で12年以上にわたって戦われた。1980年にはオスカル・ロメロ大司教がミサ中に暗殺され、4名の米国人修道女が軍関係者に殺害された。1981年のエル・モソテの虐殺では約1000名の民間人が軍に殺害された。米国はレーガン政権下で軍事政権に年間10億ドル以上の支援を提供。1992年にチャプルテペック和平協定が締結され内戦が終結。約75,000人が死亡した。
歴史的背景
エルサルバドルの土地所有構造は極端に不平等で、人口の2%が全農地の60%を支配していた。1932年のラ・マタンサ(農民蜂起に対する軍の大虐殺、約3万人死亡)以来、軍と寡頭支配層が権力を独占。解放の神学の影響を受けた農民運動と学生運動が1970年代に拡大し、五つのゲリラ組織がFMLNに統合された。ニカラグアのサンディニスタ革命の成功も刺激となった。
地形・地理的特徴
エルサルバドルは中米最小の国で、太平洋に面した火山地帯に位置する。国土の大部分が山岳・丘陵地で、北部のチャラテナンゴ県やモラサン県の山岳地帯がFMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)ゲリラの拠点となった。火山性の肥沃な土壌はコーヒー農園に利用され、14家族による寡頭支配の経済的基盤であった。人口密度がラテンアメリカで最も高く、土地問題の深刻さを規定した。
歴史的重要性
冷戦末期における中米紛争の象徴的事例であり、米国の介入政策の道義的問題を浮き彫りにした。ロメロ大司教の殉教は解放の神学運動の象徴となり、2018年にカトリック教会により列聖された。国連真実委員会の報告書は移行期正義のモデルとなった。FMLNはその後合法政党に転換し、2009-2019年に政権を担った。
参考文献
- Mark Danner, 'The Massacre at El Mozote'
- UN Truth Commission for El Salvador, 'From Madness to Hope'