概要
1938年3月18日、ラサロ・カルデナス大統領はメキシコ国内の外国石油企業(主にスタンダード・オイルとロイヤル・ダッチ・シェル)の全資産を国有化する大統領令を発布した。メキシコ国営石油会社ペメックス(PEMEX)が設立され、石油産業を国家管理下に置いた。メキシコ国民は「経済的独立の日」として熱狂的に支持し、農民や労働者が補償金支払いのための募金に参加した。アメリカとイギリスは激しく抗議したが、第二次世界大戦前夜の国際情勢がメキシコに有利に作用した。
歴史的背景
1917年憲法第27条が地下資源の国家主権を規定していたが、長年にわたり外国石油企業が圧倒的な支配力を維持していた。1937年の石油労働者のストライキと最高裁判決を契機に、カルデナスは国有化を決断した。カルデナスは大規模な農地改革(エヒード制度の拡充)も実施し、メキシコ革命の社会的約束を最も実質的に果たした大統領とされる。
地形・地理的特徴
メキシコの石油産出地帯はメキシコ湾岸のタンピコ周辺とベラクルス州の低地熱帯地域に集中していた。タバスコ州やカンペチェ州の湿地帯にも油田が存在した。メキシコ湾岸の石油地帯は高温多湿で、外国企業が支配する飛び地的な「石油の国」を形成していた。
歴史的重要性
ラテンアメリカにおける資源ナショナリズムの先駆的事例であり、後のイランのモサデグ(1951年)やベネズエラの石油国有化に影響を与えた。ペメックスはメキシコ経済の柱として現在も存続している。国際法上も、適正な補償を伴う資源国有化の先例を確立した。3月18日は「石油収用記念日」としてメキシコの祝日となっている。
参考文献
- Alan Knight, Mexico: From the Beginning to the Spanish Conquest
- Jonathan Brown, Oil and Revolution in Mexico