概要
1899年に設立されたユナイテッド・フルーツ社(UFCO)は、ホンジュラス、グアテマラ、コスタリカなど中米諸国でバナナ・プランテーションを展開し、鉄道・港湾・電信を独占的に支配した。各国の広大な土地を譲与され、税制優遇を享受し、事実上の「国中の国」を形成した。労働者のストライキは軍によって弾圧され、1928年のコロンビアのシエナガでのバナナ虐殺事件では数百〜数千人が殺害された。O・ヘンリーが小説で「バナナ共和国」と命名した。
歴史的背景
19世紀後半のアメリカにおけるバナナ需要の急増が、中米のプランテーション経済を生んだ。中米諸国の弱体な政府は外資導入による経済発展を望み、UFCOに広大な土地と特権を付与した。UFCOは自社に好意的な政権を支持し、不利な政権には転覆工作を行った。アメリカ政府の「ドル外交」と「棍棒外交」がUFCOの利益保護と一体化していた。
地形・地理的特徴
中米カリブ海沿岸の低地熱帯地域がバナナ栽培の中心地であった。ホンジュラス、グアテマラ、コスタリカのカリブ海岸は高温多雨で肥沃な沖積平野が広がり、バナナ栽培に最適な環境であった。内陸部の山岳地帯とは対照的に、沿岸部はアメリカ企業の影響下に置かれた経済的飛び地を形成した。鉄道は内陸からカリブ海港湾へバナナを輸出するために建設された。
歴史的重要性
「バナナ共和国」という概念は、外国企業と腐敗した地元エリートの結託による搾取的構造の象徴となった。中米諸国の政治的不安定、経済的従属、社会的不平等の根本的原因の一つであり、20世紀後半の中米内戦の遠因となった。1954年のグアテマラ・クーデター(CIAによるアルベンス政権転覆)もUFCOの利益保護が動機の一つであった。
参考文献
- Peter Chapman, Bananas: How the United Fruit Company Shaped the World
- Steve Striffler & Mark Moberg, Banana Wars