概要
1893年1月17日、アメリカ人農園主・実業家を中心とする「安全委員会」がクーデターを実行し、リリウオカラニ女王を退位に追い込んだ。アメリカ公使ジョン・スティーブンスの支援の下、USS ボストンから上陸した海兵隊が「邦人保護」を名目にイオラニ宮殿を包囲。女王は流血を避けるため抵抗を断念した。1898年にアメリカが正式にハワイを併合した。
歴史的背景
19世紀後半、アメリカ人宣教師の子孫がハワイのサトウキビ産業を支配し、「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる企業群が経済的覇権を握った。1887年の「銃剣憲法」で王権が制限された後、リリウオカラニ女王が新憲法により権力回復を図ったことがクーデターの直接的契機となった。アメリカの太平洋における戦略的関心も併合を後押しした。
地形・地理的特徴
オアフ島南岸のホノルルはコオラウ山脈の麓に位置し、天然の良港が太平洋の交易・軍事拠点として戦略的に重要であった。温暖な気候と肥沃な土壌はサトウキビ・パイナップルのプランテーション農業に適し、アメリカ人農園主の経済的利益がクーデターの動機となった。真珠湾は後に太平洋における最重要海軍基地となる。
歴史的重要性
独立主権国家が外国勢力により転覆された事例として、国際法上重要な問題を提起する。1993年にアメリカ議会が転覆への関与を公式に謝罪した(謝罪決議)。ハワイ先住民の主権回復運動は現在も続いており、先住民の自己決定権をめぐる議論の原点となっている。太平洋におけるアメリカ帝国主義の象徴的事件。
参考文献
- Dougherty, M. 'To Steal a Kingdom' (1992)
- Silva, N. 'Aloha Betrayed: Native Hawaiian Resistance to American Colonialism' (2004)