概要
フョードル・ドストエフスキーの代表作。貧しい学生ラスコーリニコフが「選ばれた人間」には殺人も許されるという理論に基づいて金貸しの老婆を殺害するが、良心の呵責に苦しみ、最終的に自首する。人間の罪悪と贖罪の心理を深層から描いた傑作。
歴史的背景
ドストエフスキー自身がシベリア流刑と強制労働の経験(1849-59年)を経て、人間の精神の深淵への洞察を深めていた。借金と賭博の苦しみの中で、締切に追われながら執筆した。連載小説として雑誌に発表された。
地形・地理的特徴
サンクトペテルブルクのセンナヤ広場周辺の貧民街がラスコーリニコフの住む世界であった。ネヴァ川の運河沿いの暗い裏通りと酒場が小説の舞台の多くを形成している。
歴史的重要性
心理小説の最高峰であり、フロイトの精神分析、実存主義哲学(キルケゴール、ニーチェ、サルトル)に先駆ける人間の内面の探求。カラマーゾフの兄弟とともに、小説というジャンルの可能性を極限まで拡張した。
参考文献
- ジョゼフ・フランク『ドストエフスキー 伝記』